「遠大」な計画

 冬休みを利用して僕ら3人は修二の家に泊まりに行くことになった。

 中学に入り初めて友達の家に泊まりに行く、それだけでも心弾むのに、修二の家は町から電車で一時間あまりの郊外にあるという。両親の都合で転校してきたが長期の休みや週末には実家に帰るのだそうだ。

 1時間の小さな旅に僕らの胸はさらにときめいた。

 クリスマスの夜、僕らは小高い丘の上にある修二の家の庭にいた。

 「寒いね」
 「ああ、寒いな」
 「でも何か楽しくない?」
 「うん、楽しい!」

 辺りは灯りもまばらで光と言えば修二の家の中から漏れるものばかりだった。

 「よし、じゃあ、電気消すよ」

 修二の声がして数秒後、庭は闇に包まれた。部屋の灯りを見ていたせいか、暗闇に慣れない僕らの目は一瞬間盲目と化した。

 「わぁ真っ暗だ」
 「何にも見えないよ」

 「一度目を瞑ってみ、僕が合図したら空を見上げてゆっくりと目を開けるんだ」

 修二の指示に僕らはおのおのうなずきゆっくりと目を閉じた。

 「用意はいいかい、じゃあ、1・・2・・3・・」

 僕らは空を見上げてゆっくりと目を開いた。

 「うわぁぁ!すっげー!!」

 三人は一斉に声を上げた。

 そこには見渡す限りの星空が広がっていた、都会暮らしの僕は今までこんな星空を見たことがなかった。

 吸い込まれるようで・・
 身体が空中に浮かび上がるようで・・

 「寝そべってみたら」

 「うん」

 僕らは芝生の上に寝転がると寒さを忘れて「宇宙」に身を任せた。

 僕は知らずのうちに涙を流していた・・

 「真上に見える三ツ星がオリオン座で、その下の黒い滲みはM42大星雲・・それから・・」

 修二がプラネタリウムよろしく説明を始める、僕らは子守歌でも聞くように夜空を見上げ続けた。

 「あっ流れ星!」

 「何か祈った?」
 「速くて無理だよ、次こそかな」
 「よし、僕も願い事するぞ」
 「なんか最高だね、僕たち!」

 冬の夜の夢のような時間は身体が冷え切る夜更けまできらめきながら流れていった。




 「乾杯!」

 「おめでとう、天文台の所長に昇進か、夢が叶ったな」
 「ありがとう」
 「おい、修二、まさかと思うけどあの日俺たちに星空を見せたのは今日を見越してのことじゃないよな?」
 「まさか」

 修二はとぼけた顔で笑った。

 「俺たちみんな、あの星空に感激して今の仕事を選んだのかもしれない」

 「ああ、俺は天文台、春樹は天文学者、豪は今やJAXAのトップだ」

 「修二も社長になるって聞いたぞ、いよいよ親父さんの後を継ぐんだな」

 「ああ」

 修二は微笑みながら僕らに名刺を差し出した。

 内田光学株式会社 
 代表取締役 社長 内田修二

 名刺の片隅には小さく・・・

 
 一万光年の彼方へ 
 
 - 望遠鏡の UCHIDA -



星空 画像




※ 作品の画像の中には自分で撮影したもの以外にネット上からお借りしたものがあります、問題があればご指摘ください、削除したします。










.15 2017 小説 comment2 trackback0
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